信用を一気に失くす護身法、ミスを嘘でごまかすな!

仕事でミスをしたとき、または行き詰ったとき、いい加減な対処や嘘でごまかすと、最悪の事態を招くことがあります。自分がトップに立っているのであれば、その決断力が求められますが、先輩や上司がいるときには、報告や相談をして適当(的確)な対処をするようにしたいものです(しなければいけません)。

・劉備に蜀の将来を託された男・李厳

蜀の将軍に、李厳という人物がいます。皇帝・劉備が世を去るときに、蜀の未来を諸葛亮とともに託した名将ですが、その後の彼は後方支援と同盟国である呉が不測の侵攻をしてきたときに備える国境守備の任務を任されています。前線は孔明、後方を李厳が受け持つというと聞こえはいいですが、穿った見方をすれば、蜀の全権を孔明に集中させ、孔明派や李厳派といった派閥抗争にならないように後方に回されたとも考えられています。余談ですが、孔明が重要な地の確保に経験の浅い馬謖を抜擢したのも、歴戦の実力者、魏延の台頭を抑えるためだったという見方もされています。権力闘争で蜀が分裂しないように孔明が政敵の伸張を抑えたとしても、不思議ではないですが…。

・食糧調達に失敗し、責任を逃れるために執った『最悪の手段』

前線への食糧輸送と、そのための確保が役割でもあった李厳ですが、天候不順や連年の出兵で思うような成果を挙げることができず、行き詰まった彼が選んだ方法は「嘘でごまかす」というものでした。まず、前線の孔明には『呉が侵攻の気配を見せている』と報告して退却させ、その一方で都の皇帝・劉禅へは、『食糧は十分調っているのに、丞相(孔明)が何故撤退したのか理解できない』と報告します。帰国した孔明によってこの一連の嘘はすぐにバレ、李厳は死刑になりかけまずが、周りのとりなしで平民に落とされて追放される処分で二度と復帰することはできませんでした。

・一番やってはいけない報告、「ウソ」

李厳だけでなく、現代でも仕事の報告で嘘をついたり、失敗を責められないようにごまかしたりすることは、最悪の選択肢となる可能性が非常に高くなります。運良くその場を乗り切って、自力でミスをカバーできることは極めて稀なケースでしょう。行き詰る前に、上司にどうすべきかを素直に相談することがいかに大事かを知ることができるエピソードです。