実績を評価されたら存分に活躍し、妬まれたら爪を隠せ!?

世の中というのは不思議なもので、実績を挙げたら必ず評価されるとは限らないんですね。逆に妬みや警戒心を持たれて、その場に居づらくなってしまうことも少ないケースではありません。

・周囲に期待され、信頼されているときは、思う存分才能を発揮する

三国志で諸葛孔明の最大のライバルと言われ、最後の勝者となったのが、司馬懿(しばい)とその息子達です。フィクションでの司馬懿は、時の皇帝に絶大な信頼を寄せられたものの、次の皇帝が即位すると、その取り巻き連中によって「危険人物」とされ、謹慎処分となります。しかし、諸葛孔明率いる蜀軍に対抗できる人材がいなかったため、その能力を発揮してほしいと再登板することに。国内に妬みや陥れをする人物がいなくなった司馬懿は諸葛孔明の度重なる侵攻を防ぎ、その功績は絶大なものとなっていきます。

・妬まれているときは、才を隠して相手の自滅を待つ

ここで、また皇帝が病死し、次の皇帝の取り巻きによってその実力を危険視されると、司馬懿は病気と称して表舞台から姿を消し、周囲にも「病が重い」と思わせる芝居を打つ策を採りました。相手が必ず油断して隙を作ると読んだとおり、妬んだ取り巻き連中は好き放題をするようになり、狩りに出た一瞬の隙を突いて司馬懿と2人の息子はクーデターでその連中の悪事を追及。結果として、司馬一族が魏の実権を握ることに成功しました。司馬懿の死後は息子の司馬師・司馬昭が実権を掌握し、西暦265年、司馬懿の孫の司馬炎が魏から禅譲(国を譲り受ける)という形で「晋帝国」を建国します。

・「出る杭は打たれ」、「能ある鷹は爪を隠す」

1800年前の権力闘争の話が今の世の中でも教訓として生きるというのは、人間の深層心理があまり変わっていないことを示す好例でしょう。ことわざにも「能ある鷹は爪を隠す」といいますし、「出る杭は打たれる」ともいいます。先輩や上司を立てながら、自分の実力が発揮できる機会を虎視眈々と狙う。嫌らしい人間のように感じる方もいらっしゃるでしょうが、これが円満な人間関係を築く上では必要なことでもあるんです。