事業の発展や拡大は、本拠・基礎の足元を固めてから行なうべし!

数十年前、個人でお店を開くには、店舗と在庫を確保しなければいけませんでした。ネットやモバイルなど通信手段の発達によって、今では店舗を持たない「ネットショップ」や「ネットオークション」での事業を展開することができ、サラリーマンの副業や個人事業を創めるのも昔ほど難しいものではなくなりました。しかし、サラリーマンであれば本業を、個人事業であれば拡大する際に今までの事業をしっかりと守り、足元を固めることが重要となります。

・本拠地を奪われそうになった曹操の迷い

曹操は、父親を殺された恨みで出兵したことがあります。そして、留守中に本拠地を個人の武勇では無双を誇る呂布によって攻撃されます。本拠地には参謀・荀彧などを残していたため、すぐに奪われることはありませんでしたが、曹操は攻撃を続けるか本拠地防衛のために引き返すかを迫られることになりました。このまま恨みを果たして、領土を奪い取ることもできましたが、そうなると今までの本拠地は守りきれない状況で、曹操が決断したのは、「本拠地の防衛」でした。

・本拠地を常に確保できた曹操と、捨てて放浪し続けた劉備との対比

結局、曹操は呂布を撃退して本拠地の防衛に成功しますが、もしこれが呂布に奪われていたら、本拠地を持たない流浪の軍になる可能性もあっただけに、曹操の決断は正しかったといえます。そんな曹操に対し、本拠地を守りきれずに放浪し続けたのが劉備です。本拠に腰を据えても外敵に負けて敗走し、他の君主の客分になることがしばしばで、確固とした領地を得たときは旗揚げから25年以上が経っていました。

・ビジネスチャンスを逃さないことよりも重要な、「基本・根拠地の確保」

最初に書いたとおり、現代は個人で簡単に起業することができます(規模にもよりますが)。その場その場でチャンスと思える状況もあるでしょうが、肝心の本業が疎かになって失敗しないか、本業と拡大しようとする事業のどちらに重点を置くか、その選択次第では本拠を守った曹操にも、敗走を続けて長い放浪を余儀なくされた劉備にもなり得ます。今の日本は「終身雇用」という言葉が崩れつつあり、リストラや転職も当たり前になっています。正規雇用よりも非正規雇用が当たり前になる世の中で、本拠地(本業)を守り抜くことはより重要な課題となっていくでしょう。