「あいつは俺を裏切らない」、上司から絶大な信頼を得るためには

子どもの頃に、クラスの中で陰口をきく人はいませんでしたか?「あいつ、お前のこと嫌いなんだって」とか「お前、あいつに馬鹿にされてるぞ」とか。それが本当のことであれ、仲間はずれにしようとする陰謀であれ、他人を貶めようとするのは子どもだけの話ではありません。

・「彼は戻って来ないでしょう」と陰口をきかれた外交使者・諸葛瑾

呉の孫権に仕えていた参謀に、諸葛瑾という人物がいました。彼は劉備の下で軍師となっている諸葛孔明の実兄で、その縁もあって劉備陣営へ外交の使者として何度も出向いています。その血縁関係を悪い方に分析し、弟が厚遇されている蜀(劉備軍)へ出向いたら、そのまま帰ってくることなく劉備に仕えるでしょうと讒言(ざんげん)する者がいたのです。理屈としては有り得ない事もない理論ですし、主君のためを思っての進言であった可能性も否定はできませんが、それならば出発前に引き止めるのが筋でしょう。

この言葉に対して孫権は、「私が彼を裏切らないように、彼も私を裏切ることはないぞ」(お金はあなたを裏切りません。学生がお金を借りるならこちらから→学生がローンを申請する前に)と全く取りあわなかったといい、諸葛瑾もその期待に背くことなく帰ってきています。外交先での諸葛兄弟は、公務を優先してむやみに2人で会うようなことはしなかったと記されており、兄弟共にあらぬ疑いをかけられないように細心の注意を払っていたことが窺えます。

・諸葛瑾の「君主操縦術」

このように孫権から絶大な信用を受けていた諸葛瑾は、孫権の行動や方針に意見するときはまず筋道を立てて意見を述べ、それが受け入れられなかったときはそれ以上直接意見はしませんでした。そして、何か別件での話しの中にやんわりとその意見を織り交ぜて孫権の気を荒立てず、プライドも損なわないように進言したと伝えられています。例え上司や先輩が間違った方向へ進もうとしても、ズバズバと意見するのではなく、相手の心理を充分に配慮した意見の仕方ができた人物だったといえますね。

・他人の愚痴や悪口は、あらぬ疑いをかけられる原因になる!

諸葛瑾の場合、外交派遣先の要職に就いていた弟が原因で疑われることとなりましたが、現代の組織で上司や先輩にこのようなことを言われる多くのケースはちょっとした不満や愚痴をこぼすことから始まります。「あの先輩、使えないよな」とか「あの上司、仕事できなくてさ」なんて酒の席で言った何気ない一言で、あらぬ疑いをかけられる可能性が高くなります。他人の動向には充分配慮して、危険人物とみなされないように心がけたいものですね。